育児・介護休業法が改正されます!(H22.6.30施行)
※常時100人以下の労働者を雇用
する企業については短 時間勤務制度の義務化、所定外労働(残業)の免除の制
度化及び介護休暇の制度化については、「公布日から3
年以内の政令で定める日」です。
1 子育て期間中の働き方の見直し
短時間勤務制度の義務化
(1)改正のポイント
◆改正前の育児・介護休業法では、事業主は、3歳に満たない子を養育する労働者について、短
時間勤務制度、所定外労働(残業)免除制度、フレックスタイム制度、時差出勤の制度、事業所
内保育施設運営などから1つを選択して、制度を儲けることが義務付けられていました(選択的
措置義務)。
◆今回の改正により、事業主は、3歳に満たない子を養育する労働者について、労働者が希望す
れば利用できる短時間勤務制度を設けることが義務付けられています。
(2)短時間勤務制度の対象となる労働者
◆短時間勤務制度の対象となる労働者は、次の全てに該当する労働者です。
①3歳に満たない子を養育する労働者であること。
②1日の所定労働時間が6時間以下でないこと。(※)
③日々雇用される者でないこと。
④短時間勤務制度が適用される期間に現に育児休業をしていないこと。
⑤労使協定により適用除外とされた労働者でないこと。
※1ヶ月又は1年単位の変形労働時間制の適用される労働者については、「1日の所定労
働時間が6時間以下」とはすべての労働日の所定労働時間が6時間以下であることをい
い、対象となる期間を平均した場合の一日の所定労働時間をいうものではありません。
◆このうち⑤に関しては、本来、短時間勤務制度の対象となりうるものの、労働者の実態を踏まえ
てその範囲を策定する必要があるものとして、
ア)当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
イ)1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
ウ)業務の性質又は業務の実施体制に照らして、短時間勤務制度を講ずることが困難と認め
られる業務に従事する労働者
について、労使協定により短時間勤務制度の対象外とすることができることとされています。
ウ)については、例えば改正法の施行前に既に1日6時間の短時間勤務制度が導入されてい
る場合など、短時間勤務制度を講ずることが客観的にみて困難と認められない業務については、
制度の対象外とすることはできないことに留意してください。
また、指針に例示されている業務であっても、現に短時間勤務制度を導入している事業主もみ
られることから、労使の工夫によりできる限り適用対象とすることが望ましいといえます。
(3)短時間勤務制度の内容
◆短時間勤務制度は、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含むものとしなけれ
ばなりません。
◆「原則として6時間」とは、所定労働時間の短縮措置は、1日の所定労働時間を6時間とするこ
とを原則としつつ、通常の所定労働時間が7時間45分である事業所において短縮後の所定労
働時間を5時間45分とする場合などを勘案し、短縮後の所定労働時間について、1日5時間
45分から6時間までを許容する趣旨です。
◆なお、1日の所定労働時間を6時間とする措置を設けた上で、そのほか、例えば1日の所定労
働時間を7時間とする措置や、隔日勤務等の所定労働日数を短縮する措置など所定労働時間
を短縮する措置を、あわせて設けることも可能であり、労働者の選択肢を増やす望ましいものと
いえます。
所定外労働の免除の義務化
(1)改正のポイント
◆3歳に満たない子を養育する一定の労働者が請求した場合には、事業主は、その労働者を、
所定労働時間を超えて労働させてはならないこととなります。
(2)所定外労働の制限の対象となる労働者
◆所定外労働の制限の対象となる労働者は、次のすべてに該当する労働者です。
①3歳に満たない子を養育する労働者であること。
②日々雇用される者でないこと。
③労使協定により適用除外とされた労働者でないこと。
◆上記③については
ア)当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
イ)1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
について、労使協定により所定外労働の制限の対象外とすることができることとされていま
す。
(3)所定外労働の制限の請求の方法
◆所定外労働の制限の請求は、次の事項を事業主に通知することによって行わなければなりま
せん。
①請求の年月日
②請求をする労働者の氏名
③請求に係る子の氏名、生年月日及び前号の労働者との続柄(請求に係る子が当該請求の
際に出生していない場合にあっては、当該請求に係る子を出産する予定である者の氏名、
出産予定日及び前号の労働者との続柄)
④請求に係る制限期間の初日及び末日とする日
⑤請求に係る子が養子である場合にあっては、当該養子縁組の効力が生じた日
◆この通知は、書面によるほか、事業主が適当と認める場合には、ファックス又は電子メール等
によることも可能です。
※電子メール等による場合は、労働者及び事業主が送信する情報を出力することにより書
面を作成できるものに限ります。
※「電子メール等」の「等」には、例えば、イントラネットを経由した専用のブラウザによる申出
が含まれます。
※請求後に子が出生した場合の通知についても、同様となります。
子の看護休暇の拡充
(1)改正のポイント
◆改正前の制度では、子の看護休暇の付与日数は、一の年度において5日を限度としていまし
たが、今回の改正により、養育する小学校就学の始期に達するまでの子が1人の場合は年5
日、2人以上の場合は年10日とされています。
◆子の看護休暇の付与日数は、申出時点の子の人数で判断されます。
◆改正前の制度では、子の看護休暇は、「負傷し、又は疾病にかかったその子の世話」を行うた
めの休暇とされていましたが、今回の改正により、子が負傷し、又は疾病にかかっていない場
合であっても、疾病の予防を図るために必要なものとして、子に予防接種又は健康診断を受け
させることが取得事由として追加されます。
※「予防接種」には、インフルエンザ予防接種など、予防接種法に定める定期の予防接種
以外のものも含まれます。
2 父親も子育てができる働き方の実現
父母ともに育児休業を取得する場合の休業可能期間の延長
(パパママ育休プラス)
(1)対象者
◆配偶者(事実婚含む)が子の1歳到達日以前のいずれの日において育児休業をしていること
が要件となります。
◆ただし以下の育児休業については特例の対象とはなりません。
①本人の育児休業開始予定日が、子の1歳到達日の翌日後である場合。
②本人の育児休業開始予定日が、配偶者がしている育児休業の初日前である場合。
(2)子の年齢と育児休業期間
◆パパ・ママ育休プラスの場合、育児休業の対象となる子の年齢について、原則1歳から原則
1歳2ヶ月までに延長されます。
◆ただし、育児休業が取得できる期間(女性の場合は、出生日以後の産前・産後休業期間を含
む。)については、これまでどおり、1年間となります。
(3)1歳6ヶ月までの育児休業
◆育児・介護休業法では、保育園に入れないなど一定の要件を満たす場合には、子が1歳6ヶ
月に達するまで、育児休業をすることができることとされています。
この場合、本人又は配偶者が、子の1歳到達日において育児休業をしていることが必要とな
りますが、パパ・ママ育休プラスの場合、この要件が、本人又は配偶者が、子の1歳到達日後
の育児休業終了予定日において育児休業をしていること、となります。
◆1歳6ヶ月までの育児休業をする場合、その育児休業の開始予定日は、子の1歳の誕生日の
翌日としなければならないとされています。パパ・ママ育休プラスの場合、この開始予定日につ
いては、子の1歳到達日後である本人又は配偶者の育児休業終了予定日の翌日としなければ
ならない、となります。
◆1歳6ヶ月までの育児休業の要件に該当するか否かは、1歳6ヶ月までの育児休業の申出時
点で判断されます。
出産後8週間以内の父親の育児休業取得の促進
(1) 改正前の制度では、育児休業を取得した場合、配偶者の死亡等の特別な事情がない限り、
再度の取得はできないとされていましたが、改正後は、配偶者の出産後8週間以内の期間内
にされた最初の育児休業(※1)については、特別な事情がなくても、再度の取得が可能となり
す。
※1 出産後8週間以内に育児休業が終了していることが必要です。
※2 産後休業を取得した労働者には、この特例は適用されません。
(2) 特例の対象となる期間は、原則として出生日から8週間後までの間となりますが、①出産予定
日前に子が産まれた場合は、出生日から出産予定日の8週間後まで、②出産予定日後に子が
生まれた場合は、出産予定日から出生日の8週間後まで、となります。
(例)4月1日(水)が出産予定日である場合に、3月25日(水)に子が出生した場合
→特例期間は、3月25日(水)から5月27日(水)までとなります。
労使協定による専業主婦(主夫)除外規定の廃止
(1)改正のポイント
◆労使協定を定めることにより、配偶者が専業主婦(夫)や育児休業中である場合等の労働者
からの育児休業申出を拒める制度を廃止し、専業主婦(夫)家庭の夫(妻)であっても育児休業
を取得できるようになります。
※ 改正前の制度では、配偶者が専業主婦(夫)や育児休業中である場合等の労働者につい
ては、労使協定が定められている場合には、産後8週間以内を除き、育児休業をすることがで
きませんでしたが、改正後は、労使協定の有無にかかわらず、原則として子が1歳に達するま
で、育児休業をすることができます。
◆ また、いわゆる内縁の妻等が常態として子を養育することができる労働者についても、労使協
定による適用除外規定が削除されます。
◆この除外規定の廃止は、育児休業だけでなく、勤務時間短縮の措置に係る労使協定と時間外
労働の制限にも適用されます。
3 仕事と介護の両立支援
介護休暇の創設
(1)改正のポイント
◆要介護状態にある対象家族の介護その他の厚生労働省令で定める世話を行う労働者は、事
業主に申し出ることにより、要介護状態にある対象家族が1人の場合は年5日、2人以上の場
合は年10日を限度として、介護休暇を取得することができることとされました。
(2)介護休暇を取得できる労労働者
◆介護休暇を取得できる労働者は、次のすべてに該当する労働者です。
① 要介護状態(※1)にある対象家族(※2)の介護その他の厚生労働省令で定める世話
(※3)を行う労働者であること。
② 日々雇用される者でないこと。
③ 労使協定により適用除外とされた労働者でないこと。
※1 「要介護状態」とは、介護休業における「要介護状態」と同様、負傷、疾病又は身体上
若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態
をいいます。
※2 「対象家族」とは、介護休業における「対象家族」と同様、配偶者(事実上婚姻関係と
同様の事情にある者を含む。)、父母及び子(これらの者に準ずる者として、労働者が
同居し、かつ、扶養している祖父母、兄弟姉妹及び孫を含む。)、配偶者の父母です。
祖父母、兄弟姉妹、孫については、同居、扶養の要件が付されていることに留意してく
ださい。
※3 「その他の厚生労働省令で定める世話」とは、ア)対象家族の介護、イ)対象家族の通
院等の付き添い、対象家族が介護サービスの提供を受けるために必要な手続きの代
行その他の対象家族に必要な世話、をいいます。
◆上記のうち、③については、
ア) 当該事業主に引き続き雇用された期間が6か月に満たない労働者
イ) 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
について、労使協定により介護休暇の対象外とすることができることとされています。
(3)介護休暇の方法
◆介護休暇の申出は、次の事項を事業主に明らかにすることによって行わなければなりません。
① 介護休暇申出をする労働者の氏名
② 介護休暇申出に係る対象家族の氏名及び労働者との続柄
③ 介護休業申出に係る対象家族が祖父母、兄弟姉妹又は孫である場合にあっては、労働
者が当該対象家族と同居し、かつ、当該対象家族を扶養している事実
④ 介護休暇を取得する年月日
⑤ 介護休業申出に係る対象家族が要介護状態にある事実
(4)申出があった場合の事業主の対応等
◆事業主は、法令に定める要件を満たす労働者から申出があった場合には、これを拒むことはで
きません。
◆事業主は、労働者に対して、上記(3)②、③及び⑤の事実を証明することができる書類の提
出を求めることができます。
ただし、介護休暇は要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行うための休暇である
ことから、証明書類の提出を求める場合には事後の提出を可能とする等、労働者に過重な負担
を求めることにならないよう配慮してください。
◆事業主は、介護休暇は、あらかじめ制度が導入され、就業規則などに記載されるべきものであ
ることに留意してください。
◆事業主は、要介護状態にある対象家族の介護の状況、労働者の勤務の状況等が様々である
ことに対応し、時間単位又は半日単位での休暇の取得を認めること等制度の弾力的な利用が
可能となるように配慮してください。
4 実効性の確保
紛争解決の援助及び調停の仕組み等の創設
(1)都道府県労働局長による紛争解決の援助
◆育児・介護休業法に定める事項についての紛争に関し、紛争の当事者である労働者、事業主
の双方又は一方からその解決について援助を求められた場合、都道府県労働局長が助言、指
導又は勧告を行うことによって紛争解決の援助を行う仕組みが新たに整備されます。
◆事業主は、労働者が援助を申し出たことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをすること
は禁止されます。
(2)調停制度の創設
◆育児・介護休業法に定める事項についての紛争の当事者である労働者、事業主の双方又は
一方から申請があった場合で、都道府県労働局長がその紛争の解決に必要と認めた場合、学
識経験者などの専門家で構成される第三者機関である「両立支援調停会議」に調停を行わせ
る仕組みが、新たに整備されます。
◆「両立支援調停会議」は、必要に応じ当事者や参考人から意見を聴いた上で、調停案を作成
し、当事者に対して受諾勧告を行うことができます。
◆事業主は、労働者が調停の申請をしたことを理由として解雇その他不利益な取扱いをすること
は禁止されます。
公表制度及び過料の創設
(1)企業名公表制度の創設
育児・介護休業法の規定に違反している事業主に対して、厚生労働大臣が法違反の是正につい
ての勧告をした場合に、その勧告を受けた事業主がこれに従わなかったときは、その旨を公表す
ることができることとされます。
(2)科料の創設
育児・介護休業法では、厚生労働大臣及びその委任を受けた都道府県労働局長は、同法の施
行に関し必要があると認めるときは、事業主に対して報告を求めることができることとされていま
すが、この報告に対して、報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、20万円以下の過料に処す
ることとされます。